魔の15分の1秒
要注意のシャッター速度
この画像は「35mmフィルムカメラ+180mmレンズ」と中判用の三脚(約4.5kg)との組み合わせで撮影したものです。
このレンズは800g以上あり,長さも最近のレンズと比べると長いです。自動露出(AE)での撮影の場合,私は通常は「絞り優先」で撮影します。つまり,撮影条件に合わせて好みの「絞り値」を決定し,シャッター速度はカメラに任せるわけです。
ポジフィルムでの撮影なので,当然,段階露光は行いますが,露出補正機能を利用するので「絞り値」は変化しません。変化するのは,シャッター速度の方です。
上の画像(モルゲンロートのブナ林)を写した際も,条件が刻々と変化するので「自動露出」を利用し段階露光を行いながら30分ほど撮影しました。
フィルム上ではあまりはっきりとはしませんが,朝光がこの色の時間帯の十数枚だけ,微妙に「ブレ」が見られます。L判に焼いた程度でもそれが見てとれます。
撮影中は被写体に集中するので,刻々と変化する数値までは覚えていないのですが,諸々の条件から判断するとこの時間帯にシャッター速度が『15分の1秒』前後になっていたようです。
実は,この『15分の1秒』というのは機械的に「シャッターブレ」が発生しやすい速度だと,写真を始めたころに教わったことがあります。
レンズの重量と長さも手伝ってブレが発生しやすくなる条件になっていたようです。普段望遠レンズを風景で多用しないので,撮影時にはこの基本的な注意をすっかり忘れていました。
また,この時に使用したカメラには「ミラーアップ機能」が付いているのにそれも使うのを忘れていました。 凡人であるが故に,たまにこういうことを経験し,経験してからようやく思い出す,ということを繰り返しているような気がします。(^^ゞ
ところで,このシャッターブレはカメラの重量が軽いほど発生しやすいという性質があります。ですから,カメラが軽いからと単純に喜んでばかりはいられない一面もあるのです。
したがって,軽いボディにズームレンズを装着して重心が前に移っているような条件では,三脚に乗せているからと安心しない方がよいでしょう。せっかくのチャンスも被写体がブレていては価値は半減以下ですから。
この「シャッターブレ」を防ぐには,もちろん,
(1)シャッター速度をできるだけ速くする
のが効果的ですが,
(2)思い切ってスロー速度にする
のも意外に効果があることも覚えておいて下さい。