『露出』について
適正露出を得る
私はいつも露出に悩まされます。しかも,「一瞬のチャンス」に恵まれたときほど現像結果が分かるまでハラハラ,ドキドキします。自信がないからでしょうね。
いくらカメラが進歩しても適正露出(の定義は別にして)を保証してくれるわけではありません。まして,中判でマニュアル撮影しているときは連写ができませんから『一発勝負』という感があります。
特にポジフィルムを使っていると露出には敏感になります。
中判で撮影するときは私はいつもスポットメーター(ミノルタ製で現在は生産終了)を愛用しています。35mm判で撮影するときもスポットメーターで測った数値に合わせて基本補正を行い,さらに段階露光を行うという方法で撮影することもあります。
こういう経験から,ある特定の条件には「こうすれば適正露出になるよ」というルールのようなものが“ほんのいくつか”ですが身についています。そういうものをここで紹介したいと思います。
■ブロッケンの適正露出は?
ネガフィルムで記念撮影的に撮る分にはそれほど悩む必要はないでしょう。おそらくアンダー気味に(つまり,薄く)ネガには記録されるでしょうが,現在のネガなら適正値の範囲内に収まるでしょう。心配なら他のところで露出を測りAEロックをすればよいと思います。この方が露出的には適正になるはずです。
ただし,自動でプリントに焼いてもらった場合は他のところに露出を合わし補正された状態で仕上がると思います。その場合,ブロッケンそのものの色は薄く,場合によっては再現されていないかも知れません。しかし,がっかりする必要はありません。ブロッケンに合わせて焼くように依頼すればよいのです。ネガ上には記録されているはずです。
問題はポジで,しかも作品を作ろうとしている場合です。
ポジの露出は常に悩みの種ですね。私の場合は,普通は天狗岳と組み合わせて作品にしようとしますから,天狗岳の露出とブロッケンの露出のバランスをとるようにします。ブロッケン優先という訳にはいかないのです。(このバランスを考慮すると,ブロッケンの色が濃い時でないと作品にはなかなかなりません。)
具体的な適性露出の求め方ですが,上のサンプル画像の赤丸の岩やその下の露出した岩に光が当たっている場合はそこをスポット測光して,その露出を基準にして念のためにプラス側とマイナス側に2分の1ずつ段階露光をします。これで適正露出を得られます。カメラ本体についているスポット測光機能を大いに利用しましょう。
ブロッケンの部分で露出を測ると霧に光があたりハイライトになっているので,そのまま撮影するとアンダーになります。ネガとは逆で,ポジでは色濃く記録されますから「救済」にはなりますが,作品として適正露出とは言えないでしょう。(ブロッケンそのものの観察記録を作るなら話は別ですが。)この方法で適正露出を得るには,プラス側にある程度補正をする必要があります。
「この補正量が問題なのだ!」というのが多くの方の認識ではないでしょうか。私もその一人です。適正補正量が瞬時に判断できれば「露出の悩み」から解放されると言っても過言ではないでしょう。ブロッケンが現われているときの太陽光の強さは多くの場合一定ではありませんから,補正量も臨機応変にシフトする必要が生じてしまい,それが悩みの種になるのです。
しかし,上記の私の方法だとほぼ正確な露出を得られます。また,この方法は他の場所でも同じような測光ポイントがありさえすれば可能な方法です。
ついでながら,上の写真において,ブロッケンの色が薄いのは露出がオーバー気味だからではなく,ブロッケンそのものの色が薄かったからです。その証拠に天狗岳の方は適正露出になっています。したがって,「作品」にはなりえません。(^^ゞ
■霧氷の適正露出は?
マニュアル露出撮影では,F値はもちろん被写界深度との兼ね合いもあるので臨機応変に選択し,それに合わせてシャッター速度も変えます。
念のために,絞りの方でプラスマイナス3分の1~2分の1EVずらして撮影しておきましょう。
オート露出の場合は,上記の数値と同じ露出になるように露出補正ダイアルでオーバー側に露出補正し,その上で念のためにプラスマイナス3分の1~2分の1EVの段階露光をオートですれば万全ということになります。
私の場合は,被写体との距離や収差と回折現象による解像度の低下などを考慮して,
35mmカメラで撮影する時は「F11+250分の1秒」
中判で写す時は「F22+60分の1秒」
を基準にして写すことが多いです。
フィルムカメラの場合は,この条件で撮影すれば適正露出になります。(ただし,フィルムの実効感度が数値通りならば,です)
さて,デジタル一眼レフによるオート露光の場合はどうでしょうか。
フィルムとは少し感度が違うように思いますから上の通りというわけにはいかないでしょう。上の数値とどのくらいずれているのか,お使いのカメラで検証してみるのも面白いかも知れませんね。