目 次

ボケについて(1)

ボケについて(2)

ボケについて(3)

露出

日の丸構図

黄金分割

写真は「引き算」

フォーマット

魔の15分の1秒

被写界深度

回折現象

◎2010年9月更新

 
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『回折現象』について

回折現象とは?

物理の時間(回折と干渉)に習う「回折現象」は,音や光などの波動にともなう性質の1つです。

私の理解では,その定義は「直進するはずの波動が,その障害物となるところを通過する際に広がったり曲がったりして結果的に陰になっている部分に回り込む現象」ということです。

例えば,川岸から流れの中央に向かって流木があるような状況を想像して下さい。川面に石を投げ入れたら波紋が生じますが,その波紋が流木を通過する時に,直接的には流木によって遮られているにも関わらず,流木の先端を回ってその反対側まで回り込んで伝わって行きます。

音や光に関しても同様の性質が見られます。

写真撮影と関係がある「光の回折」は,『絞り』と密接な関係があります。光の量やピントの合う範囲を絞りによって調整するのですが,レンズに入った光は絞り羽根の縁で回折現象を起こし,その程度は絞りが小さくなるほど顕著になる性質があります。これがレンズの「解像度」を低下させる大きな一因です。

簡単に言うと,理論的にはピントは合っているはずなのに,いわゆる「ピントの甘い」写真になるのです。解像度のもう1つの敵である『収差』は「絞り開放」で最大で,絞りを小さくするに連れて解消されます。そのために,「絞り」を絞ることによって「解像度」を上げるのですが,一方では,あまりにも絞りを小さくすると,回折現象のために解像度が低下してしまうという問題も発生します。

詳細は省きますが,この回折現象は,銀塩35㎜用レンズを基準にすると,デジタルカメラで出やすく,中判カメラ用レンズでは発生が少ないと言えます。そのために,中判カメラでの撮影では被写体によっては思い切って「絞る」ことが推奨されています。

他方,デジタルではあまり絞らないように言われています。私は銀塩35㎜カメラでの風景撮影では,「絞り」はF8~F11の範囲内を多用しています。これ以上絞るのは,「究極の選択」下に置かれた場合のみです。

中判カメラでは,F16~F22を常用しています。これよりも絞りを大きくするときは,ボケ量を生かしたい場合です。

さて,今回,「回折現象と絞りの関係」をデジタル一眼レフカメラで検証してみました。(デジタルカメラはこういう時にとても重宝します。銀塩では簡単にテスト撮りなどはできませんから)

回折現象のサンプル画像-01

回折現象のサンプル画像-02

 

回折現象のサンプル画像-03

回折現象のサンプル画像-04

結果はご覧の通りです。使用した「絞り値」はF8とF32です。ちなみに,数字が大きくなるほど絞りは小さくなります。

掲載した画像はレンズの性能が一番高い中央部だけをトリミングしました。使用レンズは望遠系ズームレンズとマクロレンズの2本です。望遠では中央の山にピントをAFで合わせ,マクロではカタカナの「エ」にピントを合わせました。もちろん,手ブレなどの悪影響が出ない工夫をしての撮影です。

両方とも,F32では明らかにピントが甘くなっているのがお分かりいただけるでしょう。これが回折現象の影響なのです。

それではどの程度までの絞りならば安全 なのでしょうか。レンズによる差もけっこうあるようなので一概には言えませんが,概ね,F8?F11まででやめておいた方が無難だろうと思います。

特に広角系のレ ンズはF8以上に絞る必要はないのではないでしょうか。絞ってもせいぜいF11まででしょう。厳密には,みなさんが使用しているレンズで検証してみるのがベストです。

最後に一言,

ウェブ上で,しかも小さな画像の掲載であれば,この回折現象もそれほど気にする必要はないでしょう。それよりも手ブレを無くす努力の方が優先されるべきでしょうね。

◆参照ページ

ウィキペディアの「小絞りボケ」の項目も参考にしてみて下さい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/小絞りボケ

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