「ボケ(bokeh)」について
客観的要素としての「ボケ味」と「絞り羽根の形状」との関係…(2)
◆絞り羽根の形状
画像は左右ともに開放から1段絞った時の絞り羽根の形状(コンタックス用ツァイスレンズ)です。ポートレートレンズと呼ばれる中望遠【85mm F1.4】のレンズで,プロ写真家も銘レンズと絶賛していたレンズです。
左はそのレンズの前期型で,右は後期型です。前期と後期で絞り羽根の形状に改良が加えられているのが一目瞭然でしょう。
私は左の前期型のレンズを購入した後で初めてこの絞りの形状に気がつき,失望した時のことを今でもよく覚えています。
しかし,プロは絶賛していました。
当時,私の知る範囲で,この丸鋸のような形状を欠点として指摘したプロはいなかったと思います。点光源のようなハイライトを大きくアウトフォーカスにすると丸鋸状のボケになります。どうしてこれをプロが指摘しないのか不思議でなりませんでした。
ボケの形状にこだわりのある私は,後期型が出て2~3年後になって買い直しました。
前期型の方がドイツ製ということで後期型よりも中古市場の価値が高いそうなのですが,ニコンのD300とレンズを購入するときに資金が足りなくて前期型の方を躊躇無く手放しました。
点光源のボケが綺麗な方を残すのはアマチュアと言えども写真家であるならば必然でしょう。
後期型が出てかなり年数が経ってから,「ちらほら」程度ですがこの欠点を指摘するコメントがカメラ雑誌でも出てきたように記憶しています。今ではネット上で検索すると結構その種のコメントが散見されます。
ついでながら,
プロは「今だから言えるが」と前置きをして過去の,あるいはデジタルであるなら一世代前のカメラやレンズの欠点を述べる傾向があります。
ある年に一年間だけで3回もこの前置きにネット上で出会いました。その時には言えなかった「しがらみ」があったのでしょうね。ある程度は理解できます。
しかし,絶賛していたプロが「今だから言えるが」と発言するのは人としていかがなものでしょうか。
ネットのおかげでネガティブなコメントもブログなどを通じて出てきやすくなったようですが,やはりプロのコメントには一目置き尊重してしまうものです。
消費者からすると,後になって教えてもらっても“後の祭り”なのです。なぜ欠点は欠点として正直に言わないのでしょうか。
私自身は銀塩時代からの経験から,プロのコメントだからと言って鵜呑みにはできないところがある,と用心しています。
◆レンズ購入の前には絞り羽根の形状を確認
もしボケの形状が気になるのでしたが,レンズを買うときはカメラ屋さんで実際にレンズを手にとって開放値近くの絞り羽根の形状を自分の目で確かめましょう。
近くにカメラやさんが無く実際に手にとって確かめることが無理な状況ならば,価格コムなどで情報を求めるのがよいでしょう。「ボケ」も大切な作品の要素なのですから。
そして,美しいボケを見て幸せになって下さい。