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645判(セミ判) 6×6判 690判 その他の機材

 

 

セミ判(6×4.5判:実画面サイズ56×41.5mm)撮影機材の紹介

2005年12月1日現在
 

■FUJIFILM GS645S Professional(1984年発売開始/現在,生産終了)

  
主な仕様
GS645S
形式 セミ判(6×4.5cm判)距離計連動カメラ
使用フィルム 120(15枚)/220(30枚)
レンズ EBC FUJINON W 60mm F4.0
シャッター 機械式レンズシャッター(T・1~1/500秒)
ファインダー 二重像合致式連動距離計(1m~∞) 視野率 1m:91% ∞:90%
露出制御 外光式マニュアル測光
その他 レンズプロテクター付/セルフタイマー付
圧板120・220切り替え式
重量・サイズ 766g/W147×H114×D90mm
 
今では珍しくなってしまった完全マニュアル操作のカメラです。しかも,「レンズシャッター+レンジファインダー」という仕様なので,全自動カメラが当たり前の時代にあって古めかしさを感じる人が多いかもしれませんが,山行ではこれがかなりの優れ物なのです。
 

主な長所として次のようなことが挙げられるでしょう。

 (1)マニュアルであるが故に電池がなくても写真を撮ることができる。
(2)中判にもかかわらず重量が766gと突出して軽い。
(3)60mm(35mm判の約37mmに相当)という画角は山の写真では使用頻度が大変高い。

これに付け加えて,内蔵の露出計は実に正確です。撮影者が被写体のどこで計測すべきかという理屈が分かっていれば段階露光の必要もないくらい標準的な露光になります。また,レンズは逆光にかなり強いという印象があります。

 

一方で,レンズが固定式なので60mmでしか撮れないのが欠点にもなります。私の場合,主にこの理由で最初からサブカメラとして購入し常にそのように使用し,メインカメラとなることはありませんでした。35mm一眼レフを主機材とした石鎚山撮影行によく携帯したものです。

しかし,FUJIFILM GA645Zi Professionalを購入してからは出番がなくなってしまいました。

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■FUJIFILM GA645Zi Professional(1998年発売開始/現在生産終了)
 
主な仕様
GA645Zi
形式 セミ判(6×4.5cm判)AF全自動距離計連動カメラ
使用フィルム 120(16枚)/220(32枚)
レンズ

スーパーEBC FUJINON 55mm(F4.5)~90mm(F6.9)
(35mm判相当34mm~56mm)

シャッター

AE電子式レンズシャッター(マニュアル設定可能)
B・2秒~1/700秒

ファインダー 透過型液晶ブライトフレーム付実像ズームファインダー
視野率 3m:90% ∞:88%
露出制御 外部中央部重点測光 露出補正 1/2ステップ刻み
その他 レンズプロテクター付/セルフタイマー付
ポップアップ式内蔵ストロボ付/ 画面外データ写し込み機能付
圧板120・220切り替え式
重量・サイズ 885g/W161.5×H108.5×D73mm(沈胴時)
 

マニュアル撮影も可能ですが,フィルム巻上げも含めて全てオートで撮影できるのが最大の特徴です。レンズは35mm判で34mm~56mmまでカバーするズームなので,上記の「FUJIFILM GS645S Professional」に比べて用途が格段に広くなり,贅沢を言わないで割り切れば,石鎚山でもアルプス山行でもメインカメラになり得るでしょう。

 

主な長所として次のようなことが挙げられるでしょう。

 (1)レンズが半沈胴式なので収納時にかさばらない。
(2)ズームレンズのおかげでGS645S Professionalよりも使用範囲が広い。
(3)撮影データを写し込むことができる。露出の勉強にはこの機能は大変役に立つ。

その反面,全自動であるが故に,特に寒いところでは電池の心配をしなければならないなどの欠点も生じるのは仕方ないところでしょう。また,ズームレンズの弊害として単焦点レンズに比して逆光に弱いという特性があります。その上に,被写界深度目盛りがないのも風景写真家にはつらいところです。私はメーカーよりこのズームレンズの被写界深度表を取り寄せ,必要な領域だけをボディに貼り付けて参照しています。

もう1つの欠点として,ケーブルレリーズを使っての撮影ではピント合わせも露出もマニュアルになるのはあまり使い勝手がよいとは言えないでしょう。電磁レリーズにして欲しかったと思います。

長所と欠点を考慮すると,銀塩35㎜一眼レフやデジカメとの組み合わせにおいて,ここ一番という大切な被写体はこのカメラで高画質に撮影する,といったような使い方がお奨めです。

ズームの焦点領域が望遠側は我慢するとしても,もし広角側が35mm判で28mm相当あれば機材をますます軽くしたいと思うようになる将来の山行ではこれ一台で用が足りるだろうと思うと,スペック的にはそれが一番残念です。

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■PENTAX 645 (1984年発売開始/現在,生産終了→現行機種:PENTAX 645NⅡ)
 
主な仕様
Pentax645
形式 セミ判(6×4.5cm判)一眼レフカメラ
マルチモードTTL自動露出 ※マニュアル撮影可
使用フィルム 120(15枚)/220(30枚)
レンズ

SMCペンタックス・Aの各レンズ使用

シャッター

電子制御式フォーカルプレンシャッター
B・15秒~1/1000秒 電磁レリーズ式

ファインダー ケプラーテレスコープ式ファインダー
視野率 縦92%・横93%
露出制御 TTL中央重点全面測光方式 露出補正 +3~-3段階
その他

120・220専用フィルムバック交換式
自動フィルム巻上げ/視度補正機能付

重量・サイズ 1320g/W147×H109×D117mm
 

私が使っているこのカメラは,PENTAX 645→PENTAX 645N→PENTAX 645nⅡと世代交代しているシリーズの初代です。自分で購入したものではなく,岳父からレンズ3本付きで譲り受けたものです。有効活用するために必要に応じてレンズを買い足し,今では「マイシステム」として35mm~150mmまで6本揃っています。

この初代は露出はオートで制御する仕様になっていますがピント合わせはマニュアル操作です。山岳写真を中心に撮る私にとって,AFは必要性を感じないどころか「有難迷惑」でさえあるので,この点は何の問題もありません。このカメラを使う際にはスポットメーターも併用しますから,通常はオート露出も基本的には必要ありません。ただし,日の出前後や日没前後の瞬間瞬間に光量が増減するような状況では,スポットメーターで補正値を決定した上で,オートで撮影することが多いです。言い換えると,そういう撮り方に適しているカメラと言えるでしょう。

 

主な長所として次のようなことが挙げられるでしょう。

 (1)全645判一眼レフカメラ(標準セット)の中で最軽量である。
(2)各レンズが比較的軽い。
(3)システムとして充実度が高い。

その一方で,欠点として個人的に感じるのは次のような点です。

 (1)私が使っている一眼レフ機材の中では一番ゴースト・フレアに弱い。
(2)ミラーショックが大きいにも関わらず「ミラーアップ機能」がない。
(3)露出補正値が1/2EV段階や1/3EV段階がなく1EV段階でしかできない。

欠点(1)は,古くからの写真屋さんたちのペンタックスのスーパーマルチコーティング(SMC)に対する評価は高いようですが,私の経験では「ゴーストが出るな」と思ったときはほぼ100%出ます。一時は逆光以外の条件の時に使用していたほどです。

欠点(2)は,シャッター速度によっては細かなブレとなって表れます。あくまで私の経験においてですが,雲台も含めて2~3kgクラスの三脚ではまず防げませんが,4kg以上の三脚を使うとこの問題は解消されます。

欠点(3)は,メーカーにおいて自動巻上げの「C・S切り替えダイヤル」を1/2EV段階の露出補正ダイアルに交換するという改良を施してもらうことで解消されました。私はこの改良後から大切な場面でもオート露出を使うようになりました。

 

ところで,このカメラは本シリーズの初代であり1984年に発売開始されましたが,1997年に世代交代をしてAFに変身したPENTAX 645Nが,そして早くも2001年にはその後継機PENTAX 645NⅡが発売され現在に至っています。最近,石鎚山系で中判を使っている写真家に出会うとまずほとんどの人が現行機種のPENTAX 645NⅡの使用者です。次に多いのがPENTAX 645N,その次にくるのがPENTAX 67です。初代を使っている人に出会ったことはありません。これらの機種で石鎚山系における中判カメラの占有率は間違いなく90%以上になるでしょう。他メーカーになると例外的な存在でしかありません。

この圧倒的な占有率には本当に驚きますが,中判一眼レフとしては他に類を見ないほど十分にシステムが整っているのが最大の理由だろうと容易に想像されます。例えばレンズは,単焦点レンズに加えてズームレンズが何と5本も用意されているのです。これならレンズの選択肢に不満は感じないでしょう。実際,石鎚山系で見かける本645判シリーズの使用者はそのほとんどがズームレンズを装着しています。

このように書くと中判カメラそのものがかなり売れているような印象を持つかもしれませんが,中判カメラ市場は公式発表では,2005年の販売台数は2000年の約10分の1になっており大変な落ち込みで深刻な状況です。(その対極にあるのがデジタル一眼レフだというのは想像に難くないでしょう。)こういう状況の中で,中判カメラメーカーの『体力(耐力)』が持たずにこの分野から撤退という事態がすでに表れていますが,これが加速すると中判カメラファンにとって寂しいことになってしまいます。孤軍奮闘の感があるペンタックスにはエールを送りたいと思います。

ちなみに,最新機種のPENTAX NⅡは上記に私が欠点としてあげた(2)(3)をクリアしています。さらに,測光方式が複数ありスポット測光も選択できるのは羨ましいです。ついでながら,データの画面外写し込みもできますので露出やレンズ選択の勉強にも役に立つでしょう。

最新のFAレンズは使ったことがないので欠点(1)がどうなったのか興味のあるところです。

 
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■交換レンズの紹介
 

参考:645判レンズの焦点距離×約0.6倍=35mm判のレンズの焦点距離

 
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SMCペンタックス-A 645 35mm F3.5
最短撮影距離(m) 0.3
最小絞(F) 22
最大径×長さ(m) 80×67
重量(g) 470
フィルター(mm) 77
 
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SMCペンタックス-A 645 45mm F2.8
最短撮影距離(m) 0.45
最小絞(F) 22
最大径×長さ(m) 74×66.5
重量(g) 400
フィルター(mm) 67
 
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SMCペンタックス-A 645 55mm F2.8
最短撮影距離(m) 0.45
最小絞(F) 22
最大径×長さ(m) 74×60.5
重量(g) 410
フィルター(mm) 58
 
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SMCペンタックス-A 645 75mm F2.8
最短撮影距離(m) 0.6
最小絞(F) 22
最大径×長さ(m) 74×37.5
重量(g) 240
フィルター(mm) 58
 
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SMCペンタックス-A 645 120mm F4
最短撮影距離(m) 0.39
最小絞(F) 32
最大径×長さ(m) 78.5×110
重量(g) 695
フィルター(mm) 67
 
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SMCペンタックス-A 645 150mm F3.5
最短撮影距離(m) 1.4
最小絞(F) 32
最大径×長さ(m) 74×71.5
重量(g) 435
フィルター(mm) 58