◎購入に至る経緯
高嶺の花であったハッセルを私が購入したのは「実用」という理由からだけでなく,強烈な「憧れ」がその背景にありました。
私がこの6×6というフォーマットに興味を持ったのは前田真三氏の写真がきっかけです。コマーシャルの世界で長い間君臨していたハッセルの500C/Mというカメラを風景写真の分野で使用したのはおそらく前田氏が最初だと思います。この前田氏に影響を受けたアマチュア写真家は多いと思いますが,私は特に真四角の画面で風景を「切り撮る」という視点に強烈に印象づけられました。氏の写真集も購入し継続的に氏の写真を見ていくうちに真四角な世界にますます惹かれていくようになり,いつの間にか自分でもこのフォーマットで表現したいと思うようになりました。
石鎚山やその展望台の瓶ヶ森に登る度に,真四角で作品作りができるアングルを探したものです。そしていくつか候補を見つけるに至って,いよいよ「購入」が現実味を帯びてきたのでした。
カメラも当然のように前田氏の使っていたハッセルに傾倒しました。しかし,情報を収集する中で,そのころのカメラ(500C/M)はボディの内面反射の影響でレンズは優秀であるにもかかわらずゴーストやフレアが出やすいということを知りました。私は山岳写真の分野でこのフォーマットを使いたいと思っていましたし,石鎚山での撮影ではその大部分が「太陽に向かってシャッターを切る」ので,これは私にとっては致命的な欠点でした。
そういう理由から一度は諦めていたのですが,しばらくして新しいボディ503CXが発売されるということを知りました。カメラ雑誌でテストレポートが掲載されるのを待ち,ゴースト・フレアの問題が大幅に解消されたということを確認すると同時に具体的な購入計画を立てました。そして,足掛け3年がかりで現在の「マイシステム」であるボディと新設計のレンズ3本そしてプリズム・ビューファインダーおよび予備のマガジンを揃えました。1990年11月のことです。
◎6×6判に対するこだわり
このファーマットは一般的にはプリントサイズに合わせて「トリミング」を前提に撮るということになっていますが,真四角の画面で撮りたいという憧れでこのカメラを購入した私の頭の中には当然そのような意識はありません。常に真四角で切り撮ることを意識してカメラをセットします。したがって,プリントにする際も真四角に焼いてもらいます。もちろん,切り撮る対象を見て真四角では無理だと判断せざるを得なく,他にカメラも持っていなければ,結果的にトリミング前提で写すこともありますが,それはあくまでも最後の手段としての選択肢です。
◎内面反射防止材の経年劣化について
503CXには,500C/M時代に問題になっていた内面反射を防止するために内壁に貼られているパルバス材が経年劣化でひび割れるという現象があります。私のボディは1990年末に購入していますからちょうど2005年11月現在で15年経ちました。そして,先日このひび割れを発見しました。
シュリロに問い合わせたところ,使い続けても問題はないそうですが,「このひび割れが起きる頃は油切れなども起こる時期」なのだそうです。このパルバス材を交換するには結局オーバーホールしないといけないので,この交換も含めて「オーバーホール」に出すのがメインテナンスの時期としてはよいようです。その費用ですが,約6万円前後かかるそうです。
ちなみに,15年経過したボディは今まで故障の経験はありません。今6万円を出す覚悟がありません。オーバーホールはもう少し使ってからにしましょう。(^^ゞ
◎2007年12月追記
11月中旬に撮影しようと思ったらシャッターが切れない,レンズがはずれなくない,というトラブルに見舞われました。この時点で覚悟を決めて修理とオーバーホールに出しました。
修理技術料+部品代+送料+消費税の合計が≪61,950円≫でした。(;_:) |