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撮影山行のための「登山装備」情報 ― 登山靴…(2)―

『登山靴の選び方』について(1)

●特別幅広甲高の人にはオーダーメイドがお薦め(1)

私の足は典型的な「幅広甲高」タイプです。これに加えて,学生時代に靴には幅のサイズも選択できることを知らなかったばかりに,靴を足に合わせて履いていて外反母趾になってしまいました。(無知は怖いものです!)ですから,ビジネスシューズは普通のサイズはおろか「EEEE」でも合いません。

この足のために,登山靴には苦労してきました。キャラバンシューズを履いてもローバーを張り込んでも親指の付け根が必ず痛くなりました。私のような日本人の足型に合わせた登山靴が皆無に近かった頃のことです。

初めてオーダーメイドで手に入れた重登山靴そこで,登山雑誌で知ったいくつかの登山靴専門店に問い合わせをして重登山靴をオーダーメイドしてもらうことにしました。いろいろ検討した結果,最終的に『山靴の店 たかはし(山友社 たかはし)』でお願いすることにしました。もう,1990年代始めのことでした。この時の靴は2度修理には出しましたが,平均約20kgのザックにも耐えてくれとても長く使うことができ,2009年春まで現役でした。

オーダーメイドの際に「たかはし」さんに言われたのは,九州・四国の人には幅広甲高の人が多いということで,私の足も珍しいくらいに幅広で甲高だということでした。

ついでながら,この高橋さんも今では後継者がいなくて「廃業」されてしまいました。私の靴の修理を2007年に県内のアウトドア専門店から外注してもらいましたが,アウトソールの張替えしかできませんでした。困ってしまいました。

  ※2009年春に別の店でオーダーメイドの新しい靴を手に入れました。(登山靴…(4)に詳細

前置きが長くなりましたが,とにかくこれで快適になったわけです。しかし,低山のトレッキングにもちょっとしたハイキングにも『重登山靴』という訳にはいきませんから,いわゆる軽登山靴あるいはトレッキングシューズなるものを今までに何足か購入してきました。

その時の経験から軽登山靴選びのポイントを挙げてみようと思います。

●軽登山靴選びのポイント』

人間の足は時間とともにむくんできます。まして登山という負荷が大きい作業を行うと余計にむくみがきます。ですから,むくんだ状態でフィットする靴を選ばないと足のトラブルの元になります。できれば夕方に選びたいものです。

靴によって数字上は同じサイズでも実寸はまちまちです。通販が当たり前の昨今ですが,靴だけは実際に履いて選びましょう。私のように田舎に住んでいて登山専門店が近くにない人の場合,もし「どうしても通販で」というなら,同時に複数の靴を送ってくれるお店を探しましょう。実際にこういうサービスをしている専門店もあります。

私の失敗例です。紐をかけるくるぶしの辺りの金具が歩き始めてすぐにくるぶしに当たっているのが分かりました。日帰り登山でしたので我慢してその日の内は歩いたのですが,帰ってみるとくるぶしの辺りが腫れているのです。原因は左右の金具の位置がずれていたことにあり,交換してもらいました。

このことからも分かるように,本当のフィット感は実際に歩いてみないと分からないものです。許可をもらって店内を30分ほどは歩いて見ましょう。登山の専門店に行くとついでに他の道具やウェアーも多くの人は見るでしょう。その時間を利用すれば一石二鳥です。

サイズだけ合えば安心だと考えるのは早計です。たとえば,ハイカットタイプを選ぶ場合,足首部分がしっかりしていないと特に下山中に爪先が前に移動し爪を傷めたりマメの原因になったりもします。また,私のように幅広甲高の足の持ち主は特に「幅」にこだわりますが,余裕がありすぎるのも実はホールド感がよくないので疲れの原因になります。

素足で登山靴を履く人はいないでしょうから,靴下の厚みも大切な要素です。いつも使用している靴下を持って行くのがよいでしょうが,特に厚手の靴下の場合ヘタッテいる場合,同じ製品の新品と比べて見るとフィット感に差が生じます。比較的新しい靴下を履いて,あるいはそのお店で靴下を先に購入してから,靴選びをした方がよいと思います。靴下は案外寿命が短いものです。同じ靴下を少なくとも2組買っておくことをお薦めします。

ちなみに,私は軽登山靴の場合でも靴下は2枚履きたいと思っています。素足にできるだけ肌触りのよい薄いものを,そしてその上に中厚のものを履くのです。この方が登山靴用の靴下1枚よりも気持ちがよいです。ぜひお試しあれ。

ゴアテックスを使用していることを謳っていても,どういう風に使っているか,どこに使っているか,どの程度の面積を占めるかはメーカーと靴によって異なります。お店の人にしっかり確認しましょう。

捻挫などの事故防止,岩場での擦り傷防止のためにもハイカットを選びましょう。下山において足が靴の中で前の方に移動するのを防いでもくれます。ハイキング程度でも私はハイカットをお薦めします。

これも私の経験ですが,ベロが甲の中心にこないで最初から片方に傾いている靴をそうとは気付かずに買ってしまったことがあります。歩いているうちにベロの硬い部分が当たっているところが段々と痛くなってきました。無理矢理にベロを甲の中心に持ってきて紐を閉め直しても歩いているうちに偏ってきます。これは「慣れ」では解決できません。意外に粗雑な作りのものも混ざり込んでいるようです。

軽ければ楽だろうとは必ずしも言えないと経験的に思います。軽さは強度を犠牲にした結果かも知れません。フィット感とホールド感の方がはるかに重要です。個人的には,現在のトレッキングシューズはどれも十分軽いと思います。使用目的・体力・年齢・膝の状態などを考慮して総合的に判断すべきであり,軽さ最優先は感心しません。

ちなみに,私の重登山靴は両方で約2,500gあります。そして,両膝に故障を抱えています。確かに,持った時には「重い」と感じますが,歩いている時に「重い」と思ったことは1度もありません。むしろ,疲れている時ほど楽なような気がします。

専門店の中には「売りたい商品」をやたら勧めるところがあります。それも特価になっていたりします。要注意です。儲けの多い商品を勧めている場合,在庫処分で勧めている場合が多いのではないかと思います。特に,特価品は製造年月日が重要です。経年劣化は購入したときから始まるのではなく,作られた時から始まっているからです。

その店が自信を持って勧めているのか,売りたいから勧めているのか,その判断は購入者である私たちがしないといけないのです。

ついでながら,こういう意味では信頼のできる『馴染みの店』を作っておくと安心ですね。

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