(61)アオハコベ
花名の由来は,花弁のように見える萼と雄しべ・雌しべを合わせた花冠部全体が緑色に見えることからだろうというのは容易に想像がつく。
図鑑は高さ20〜25cmほどの多年草とあるが,今回はまだ咲き始めということもあったのか,10cmほどだった。
本種を載せている図鑑はほとんどないが,数少ない情報をまとめると,ヤマハコベ(花冠の姿は大きさが一回り大きいミヤマハコベに似ている気がする)の花弁の無い変種とのことだ。花弁のように見えるのは萼であり,花径は1cmもない。この個体で数ミリ,せいぜい5〜6mmだったように思う。
その色もあって周囲の緑に同化しているために,道沿いに群生していても気付かずに通り過ぎそうになる。山野草を探して注意して歩いていても気がつかないような極めて地味な花だ。そこに咲いていると教えてもほとんどの人は周囲の植物から識別できないだろう。
この花は,間近で観察すると葯の黄色が目立ち,けなげにも精一杯自己主張しているように感じられて微笑ましい。
2005年に初めて出会った時は花弁の無いハコベの仲間があるとは知らなかったので,花弁が落ちた後かなと思っていた。花にある程度詳しい人に尋ねても分からず,同定までには時間がかかった。
■一口撮影ポイント:
木洩れ日の中で逆光気味に花冠部に光りが射している状態で写す機会があれば地味な花でも美しさを引き出して綺麗に撮れるだろう。 |