『瓶ヶ森(1896m)』山行レポート 2007年4月19日 No.1/4

―春雪のトレッキング―

 

4月5日に続いて今回も寒波の直後の晴天になった。

前日の水曜日午前中に赤石山系にある別子地域で霙(みぞれ)が降っていることを知った。午後,懇意にさせてもらっている写真館で山の話をしていると九州の阿蘇山で積雪20cmというニュースが流れていたと言う。しからば,石鎚山系の高嶺でも雪は降っているはずだ。木曜日が休日の私は明日はどこに行こうかと目的地を考えていたのだが,このニュースで前回に楽しい新雪歩きを楽しめた瓶ヶ森に決定。(注意:瓶ヶ森は「びんがもり」ではなく「かめがもり」と読む)

複数の天気予報で時系列の天気予報を確認。どれも真夜中過ぎから晴れマークが出ている。風も強くはない。前回は駐車場に8時半頃につくというのんびりとしたスタートだったが,今回は夜明けに間に合うように出かけることにした。

3時過ぎに起床。準備をするが同行する家内のペースがのんびりとしている。後で分かったが,3時半起床,4時過ぎ出発と思っていたようだ。結局,4時前に出発した。時間を計算すると撮影の第1ポイントでぎりぎり夜明けを迎えられるだろう。

気温9℃。国道11号線はこの時間帯は快調に流れている。おかげで10分短縮だ。山道に入る。たまに対向車と遭遇する。路面の凍結に気をつけないといけないので時々外気温を確認しながら走る。やがて寒風山の駐車場に着く。雪は全く無い。積雪はもっと標高の高いところだろうか。気温3℃。平地の気温からするとこんなものだろう。

凍結もなく積雪も無いので気を楽に走る。しかし,そのうちに路肩の雑草の上に白いものが見えるようになった。雪だ。寒風山の駐車場から数キロ付近のところから道にも積雪があった。段々と深くなる。林道の両側から樹木の枝が雪の重さでたわんで樹氷のトンネル状態になっている。車のライトに浮かんだ風景は十分にきれいだった。これだけでも来た甲斐があった,と家内と言葉を交わす。

やがて,ガスが濃くなってくる。前方がよく見えない。かなりな濃霧だ。

濃いガスの中を目を凝らしながら運転する。すると,前方に何やら白い大きなものが浮かんできた。赤いライト見える。自動車だ。こんなところに止まって何をしているのかと思いながら近付くと,年配の男性がやってきた。タイヤチェーンを装着しているのだと言う。今装着しているタイヤだけ終わったら,車を脇に寄せてくれると言う。十分に駐車スペースがあるところなのだから,最初からそうしておいてくれればという思いも脳裏をよぎったが,平日のこんな時間に他の車が来るとは考えないのも理解はできる。

数分後に通過できたが,11号線で稼いだ時間はほぼチャラになった。夜明けが気になる。瓶ヶ森まで後数キロというところで少し明るくなってきた。気は逸る。

私の車は四駆でスタッドレスを履いている。しかし,15cmほどの深さの雪の上を走っているのに滑るようになる。そのうち,タイヤが空回りして動かなくなった。2日前の雪が半分融けてその上に前日の雪が積もった状態のようだが,下の層が凍っているようだ。しかし,それでこのようになるものだろうか。今までの経験には無い。万一のためにチェーンも持っているが,とりあえずバックして慎重に前進するとすぐに脱出できた。この後も新雪の上を走っているという感覚なのにタイヤが時折滑る。気持ちの悪い感覚がハンドルを通して伝わってくる。

いつもの冬道以上に慎重に運転したので,瓶ヶ森の駐車場に着いたのはちょうど夜明け間近の頃だった。この時,5時20分。マイナス1.5℃。

他に轍の跡はない。道路は15cmほどの積雪がある。周りの樹木は霧氷が着いている。前回以上の規模だ。急いで支度をして小走りで行けば第1ポイントでの日の出に間に合うかも知れない。

ところが,濃霧だ。風はあまりない。夜明け前にしては暗すぎる。今までの経験では,こういう静かな濃霧の時は瓶ヶ森の頂上もガスの中だ。私一人なら,ガスの中で撮影チャンスに備えて待機するが,家内をマイナスの気温の中でじっと立たせておくことはできない。寒さに弱いので動いていないと耐えられないからだ。

車中で様子を見ることにする。睡眠不足なので家内には仮眠をとらせる。私もうとうとしながらも外の様子を時折うかがう。風が時折強く吹くようになる。

7時過ぎになってやっと一瞬ガスが切れて瓶ヶ森の一部が見えた。しかし,すぐにまた濃霧の中だ。2〜3回これを繰り返した後,南東の方に少し切れ間ができ青空が見えた。これもまたすぐにガスが覆ったが,長年の経験からもう少しでガスが晴れるだろうと判断した。

7時20分。気温は変わらずマイナス1.5℃。家内を起こす。すぐに支度に取り掛かった。


(1)駐車場の霧氷

午前5時42分,撮影。

  

(2)駐車場から瓶ヶ森方面

支度をしている時に,再び,一瞬ガスが切れる。

午前7時24分,撮影。

 

(3)駐車場の南側

南から南西方面に青空が広がる。支度の手を止めて撮影する。

午前7時25分,撮影。

 

(4)トイレ前

再び濃いガスの中。

午前7時32分,撮影。

 

(5)トイレ前

再び,ガスが切れる。北方向に青空が初めて見えた。

午前7時35分,撮影。

 

(6)上の駐車場方面

青空に面白い雲が見えたのでとりあえず撮影。これがデジタルカメラの良さだ。

午前7時35分,撮影。

 

 

(7)登山口上部から俯瞰する

午前7時39分,撮影。

5日の時以上に雪は深い。浅い所で15cmほどある。

前回は雪山初体験の同行者もいたのでアイゼンを着けた。しかし,今回はこれだけ雪が深いとアイゼン無しの方がより新雪歩きを楽しめると判断し私は着けないことにした。家内も同様に着けないで歩いて見ると言う。

そこで,私がキックステップで先頭を歩き,家内のために足の置き場を確かめながら進む。

 

(8)子持権現

まだ石鎚は顔を見せないが,子持権現が雲海の中からその特徴的な姿を現した。

 

(9)太陽と雲海

午前7時45分,撮影。

 

(10)青空広がる

午前7時46分,撮影。

全体的的に青空が広がってきた。

 

(11)午前7時47分,石鎚が頭を出した!左に子持権現,右に石鎚の頂上部が見える。

 

(12)午前7時49分,撮影

この後,石鎚がこのまま姿を見せてくれる保証はないので,写せる時に写す。

 

」 

(13)午前7時52分,撮影

第1ポイントに急ぎながらも,シャッターは切る。

北から雲海がどんどん押し寄せている。その雲海の上部が時折石鎚の上部を隠す。

 

(14)午前7時53分,撮影

雪の上の紋様にも惹かれる。新雪だからこその楽しみでもある。

 

(15)午前7時54分,撮影

子持権現と上の駐車場方面を俯瞰撮影する。

 

(16)午前7時56分,撮影

普段はこのアングルから撮ることもない木だが,新雪の中に樹氷となっている姿は「気になる木」だ。

 

(17)第1撮影ポイント

このポイントで中判カメラを取り出しセット。シャッターチャンスを待つ。前回は銀塩カメラを持参しなくて後悔したので,今回は何箇所かのポイントで中判カメラで撮影予定だ。

7時57分から8時23分まで,銀塩カメラとデジカメで雲海の状態に合わせてシャッターを切る。

 

(18)樹氷と子持権現

 

(19)樹氷と石鎚山

雲海が薄くなってきたのでこのポイントでの撮影は終了。

 

 

(20)気になる木と石鎚山

個人的に瓶ヶ森の「カメラマンの木」と呼んでいる木だが,私自身はほとんと撮ることはない。

今回はちょっと面白い風景をつくっていたのでデジカメでアングルと構図を変えてしっかり目に撮影した。


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