寒風山…アケボノツツジに会いたくて 2005年5月12日

石鎚山に通って20年以上になるが寒風山に登るのは今回が初めてだ。山野草を撮るようになってからこの山に興味を持つようになったが,機会があるとどうしても石鎚山や瓶ヶ森に行ってしまう。一昨日,写真の師匠筋に当たる写真館のご主人を通じて,寒風山を歩いてきた人のアケボノツツジ情報が手に入った。その人が写した写真によると「アケボノツツジの並木道」風だったそうだ。

皿ヶ嶺や天狗の森は気になるが,寒風山の下調べになるしアケボノツツジを写すなら今週中だろうし「ルートの下見を兼ねて行ってみるか」ということになった。今回も家内が同行することになった。次男が巣立ってからは2人での行動が増えた。

(1)駐車場

左奥に茶店が見えるが,その前にも駐車場はある。しかし,そこは茶店を利用する人が一時的に止める場所なので,登山者は手前のこの駐車場に止めるようにとあちこちのサイトで読んだことがあったので,茶店を営業していないこの日も正規の駐車場に止める。

  

(2)茶店の前

朝の8時前にして,先客の車2台。1台はなんと三河ナンバーだ。「昔お嬢さん」が4人ではるばる当地までやってきたと後で分かった。

 

(3)旧寒風山トンネル

昨年の災害で,このトンネルを利用した西条側から直接ここにやってくるルートは通行止めになっている。

私は新寒風山トンネルを利用するよりもこのルートの方が好きだ。こちらのルートの方が道幅が広くてヘアピンも少なく運転しやすく,結果的に所要時間も少ないのだが,そのことを知っている人は少ないようだ。

それにお土産にする寒風山の名水があるのもこちらのルートだ。

 

(4)登山口

7時50分出発。雨は降ってはいないものの天気はあまり良くない。いつ降られるかもしれないので雨具は用意している。

いわゆる「瓶ヶ森林道」は左の舗装道路を進む。過去,何十回と言わずこの道を通ったが,その時はいつもこの登山口を横目でチラッと見ては素通りだった。

いきなりの急登は,北アルプスの燕岳に登る中房温泉ルートを思い出した。こういうルートでは身体が慣れるまで努めてスローペースを維持することだ。どんなにゆっくり歩もうが確実に進む。焦らないことだ。

 

(5)新緑の中の登山道

写真では明るく見えるかも知れないが,曇天なので少し薄暗い。

 

(6)タチツボスミレ

スミレ君,君は本日初めて迎えてくれた花なのでお礼に撮ってあげよう。

 

(7)新緑の向こうに青空が…

歩き始めて25分。青空が見えてきた,と2人で喜ぶ。一瞬の喜びに終わったが…。

 

(8)タニギキョウ

予想していなかった花に会えた。

数年前に石鎚山土小屋ルートで撮影したときは手ブレだった。

写し直す機会を待っていたので会えてうれしい。

 

(9)タニギキョウ

登山が目的の場合でも,上りで花に出会ったら「下山の時に写そう」はやめた方がよい。下山時に見つかるとは限らないし,何が起こるかも分からない。

この失敗を過去にいやというほどやった。最近は「とりあえず写しておく」を心掛けている。一期一会の精神だ。もちろん余裕があればしっかり時間をかけて何ショットも撮る。

 

(10)タニギキョウ

図鑑によっては夏の花として紹介されているタニギキョウは,とても小さな花だ。1cmもない。こういう小さな花こそアップで撮影してそのお顔をみなさんに見てもらわねば…。

雌しべの柱頭の先が割れているのが見えるだろうか。

撮影はこれくらいにして,後は下山時に条件が良ければしっかり撮ることにする。

 

(11)ミツバツツジが彩る登山道

この辺りのミツバツツジはほとんど終わっている。ところどころに遅いのが残っている程度だ。

寒風山には「アカイシミツバツツジ」があるはずだ。いつかは出会えるだろう。

 

(12)シハイスミレ?

このスミレ,標高が高くなるにつれて小さくなっている。頂上付近では“ミニ”シハイスミレと化していた。

 

(13)フモトスミレ?

エイザンスミレ以外では,上のシハイスミレとこのフモトスミレが識別できるようになった(気がする)。

 

(14)フモトスミレ?

「どう,私きれい?」と言っているようないないような…。

 

(15)新緑と萌黄色

裸のように見える樹の幹が白く,新緑とのコントラストが面白いので撮ってみた。

アルプスではダケカンバがこういう雰囲気を持っている。四国も分布域に入っているのでダケカンバだろうか。それとも変種のアカカンバだろうか。標高的にも可能性はある。

左中央部に瓶ヶ森林道が少し見えている。

 

(16)あれが寒風山頂上だろうか?

撮ってくれとばかりにミツバツツジが咲いていた。その右横には若葉が。この辺りまで標高を稼ぐと萌黄もかなり楽しめる。

 

(17)桑瀬峠

午前9時。ここまで約1時間10分かかった計算になる。

これがあの有名な桑瀬峠か。「有名」と言っても私の中だけだが。(^^ゞ

いろいろなサイトの山行レポートに登場するのだ。縦走してきた人はここで食事をしたりもするようだ。

右端に不純物が混ざっているがご容赦願いたい。ファインダーが視野率100パーセントのカメラでないと,時としてこういうことがおこるものだ。

 

(18)桑瀬峠の道標

標高が1451mとある。寒風山の標高は1763mだから,後300mかせがなければならない。これは健脚の人で1時間かかる計算だ。

果たして,我々がどのくらいの時間で頂上までたどり着けるだろうか。

水分を補給したらすぐに出発。途中花を写しながら登ってきたので休憩は必要なかった。

 

(19)アケボノツツジが…。

桑瀬峠から一登りして水平になったところ。

写真が小さいので分かりづらいがここからアケボノツツジが点在しているのが見える。

この山容はもしかすると条件によっては山岳写真になり得るかもしれない。

 

(20)斜面の少しアップ

アケボノツツジがあるといってもこの程度だ。決して,西赤石と比較してはならない。規模が違うのだ。

群生を見たいのなら西赤石に行くべし。ここではブナ林と共生するアケボノツツジの大木を目の前で鑑賞することに意義がある。

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