『秘境 乗鞍山麓五色ヶ原』探勝の概要
北アルプス乗鞍岳の北西に広がる『乗鞍山麓五色ヶ原』は中部山岳国立公園の南端にある広大な森林地帯にあり,手つかずの希少な自然が残る秘境だ。一般に公開されるようになったのは2004年からだ。
可憐な花を咲かせる山野草が豊富で,多くの渓流と滝,池,湿原があり,野生動物や野鳥・昆虫が多く生息している。訪れるたびに探勝者に四季折々の表情を見せてくれるはずだ。
五色ヶ原には探勝コースが2つある。滝を中心とした「滝巡りコース(カモシカコース)」と池を中心にせせらぎや湿原を楽しむ「池巡りコース(シラビソコース)」だ。どちらも約7kmを8時間かけて歩くことになっている。したがって,時間的には決してハードではない。余裕を持って設定されている。
◎体験者として次のことをアドバイスしておきたい。
アドバイス(1)
公式ホームページや他の情報源などでは「探勝」とか「散策」という言葉が使われているが,その実態は登山と言ってよく,決してハイキングと考えてはならない。
「滝巡りコース」の方がアップダウンがきつく中級者以上向きで,登山で言えば少なくとも2000m級の山に登る脚力が必要だ。石鎚山系で言えば,寒風山に登る際の桑瀬峠までの急登や伊予富士の最後の急登,あるいは石鎚山の二の鎖から上の登りを想像していただくとよいだろう。
したがって,たまにしか山歩きをしないような人が歩くと足を攣ったり肉離れを起こす可能性が高い。運動不足の人はスクワットなどをしてふくらはぎと太腿を鍛えておく必要がある。山歩きをしても筋肉痛が出ない程度に歩き込んでさえいれば問題ないというのが体験的印象だ。
しかし,上記の距離とコースタイムから分かるように,幸いなことに速く歩く必要はない。案内人の説明を聞くときは立ち止まる。それが小休止の役割をする。さらには雨具や弁当などの最低限の荷物で済むのでリュックの重さは数キログラムの範囲内で収まるだろう。水も水場がコース上にあるので水・お茶の類は特には必要ない。ただし,夏場や汗かきの人はスポーツ飲料水を携帯しておいた方がよいかも知れない。
一方,「池巡りコース」の方も「アップダウンがほとんどなく平坦なコース」というような説明のされ方をするが,実態は異なり結構アップダウンもある。事前情報を鵜呑みにしていたら精神的に辛いかもしれない。地元の人にしか分からないので恐縮だが,石鎚山系で言えば,土小屋コースの土小屋から二の鎖小屋までのコースや桑瀬峠から寒風山までを想像していただくとよいだろう。
アドバイス(2)
足回りだが運動靴で歩く人も中にはいるらしいがそれはやめた方がよい。足首を傷めるのが落ちだろう。足首までしっかり保護できる登山靴が必要だ。特に,くるぶしなどの足の側面が岩に当たっても痛くないような靴が必要だろう。
そして,スパッツは使用した方がよいと思う。私は最初は蒸れそうで使わなかったが途中で着用した。笹や葉で濡れるというようなことはないが,ぬかるんでいる所が多いので靴もズボンが段々と汚れてくるからだ。夏場以外は冷え対策になるかも知れない。
最後に,この五色ヶ原を探勝するにはルールがある。
◎入山(ツアー)10日前までに予約する必要がある。
◎案内人と一緒に少人数グループ(最大10名)で探勝する。
◎滝巡りコースを体験してからでないと池巡りコースには参加できない。
◎ツアー期間は5月20日から10月31日までとなっている。
詳細は「五色ヶ原案内センター」の公式ホームページを参照するとよいだろう。また,本サイトのリンク集の「お役立ちサイト」に掲載している「乗鞍山麓 五色ヶ原に関するお役立ちサイト」が文字通り役に立つことだろう。