石鎚自然写真館『撮影紀行』 ― 2010年 ―

『皿ヶ峰』撮影散策レポート 2010年 5月 6日  1/1

萌黄と新緑の織りなす生命の息吹を感じながら皿ヶ峰を歩く

皿ヶ峰は萌黄と新緑が目に眩しい季節になりました。

ゴールデンウィークが終わり静けさが戻っただろうと思いながら,1年で一番好きな季節を新緑の森歩きに出かけました。

山野草の一番の目当てはイチリンソウです。前回は開花している個体数が少なくそれほど撮ることができませんでした。今回はイチリンソウだけでサイトコンテンツとして写真集を作れるほど撮ろうと思っています。

【補 足】
コンレポートは5月15日に作成しました。実は,このレポートの最後で報告しますが,ひどい盗掘跡を見つけてしまいました。今までにいろいろな盗掘跡を見てきましたが,こんなひどいのは初めてだと言うほど悪質なものでした。加えて,個人的には皿ヶ峰で一番お気に入りの撮影スポットだっただけに気分が悪くレポートを書く気になれませんでした。時間も少し経ち,来年以降のために新緑の状態や山野草の開花状況を記録しておく必要があると思い直し,10日ほど遅れで書いています。


◎今回の撮影機材について:

ニコンのデジタル一眼【D300】を使用しました。

レンズは,

◎シグマの超広角ズームレンズ【SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM】
◎ニコン純正の接写レンズと【AF-S Micro NIKKOR 60mm F2.8G ED】
◎タムロン製の【TAMRON SP AF17-50mm F/2.8 XR Di II】

を使いました。


皿ヶ峰 散策レポート画像01(01)イチリンソウ

今回のお目当てです。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像02(02)イチリンソウ

別名の「ウラベニイチゲ」を思わせる個体を中心に撮ります。

イチリンソウは今までに数えられないほどたくさん撮っているので,ウラベニになっていないものは撮りません。

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像03(03)イチリンソウ

まだ初々しいイチリンソウです。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像04(04)イチリンソウ

飽くことなくイチリンソウを撮ります。

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像05(05)ミツバツツジ

新緑とミツバツツジのコントラストが美しいです。

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像06(06)クロモジの芽吹き

写真にするとそれほどではありませんが,現場では新芽が輝いて綺麗でした。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像07(07)若葉

ただ癒される風景です。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像08(08)ミツバツツジ

若葉を配してコントラストを強調しました。

この後は特に写欲が湧くような被写体もなく竜神平を一周し,コーヒータイムも過ごし下り始めました。

登りの時とはまた別の視点で新緑風景を眺め,山野草を探します。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像09(09)ミツバテンナンショウ

この種の花はあまり好きではありませんが,花名を忘れないために記録しておきます。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像10(10)スミレの仲間

私にはスミレの類は区別が付きません。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像11 (11)スミレの仲間

ちょっと格好良いスミレなので花名が分かればよいのですが…。

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像12(12)ワチガイソウ

ワチガイソウはフォトジェニックに撮るには難しいです。これは比較的上手く行った方ですが,作品とまでは言えません。

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像13(13)スミレの仲間

咲いている場所は取りやすくて良いのですが,右奥の背景がよろしくありません。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像14(14)クロモジの若葉

背景にミツバツツジが写っています。

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像15(15)イチリンソウ

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像16(16)イチリンソウ

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像17(17)イチリンソウ

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像18(18)?

以前は知っていたのですが,完全に花名が頭から消えていきました。撮って美しいものではないので必然の結果です。

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像19(19)ジロウボウエンゴサク

類種にヤマエンゴサクがありますが,赤紫系はジロウボウエンゴサクで,青紫系がヤマエンゴサクです。

本当の識別の決め手は別になるのですが,少なくとも皿ヶ峰では色で区別できます。この5年間で例外にあったことがありません。

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像20(20)イチリンソウ

”乙女”のような姿です。

 


皿ヶ峰 散策レポート画像21(21)イチリンソウ

向こうを向いているイチリンソウのウラベニを意識して撮影しました。

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像22(22)イチリンソウ

ウラベニを写すためにカメラ位置をかなり低くしています。こういう時はモニターを動かせるカメラが欲しくなります。

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像23(23)双子のイチリンソウ

これを撮影して3日後の9日に確認すると,無くなっていました。掘り起こした跡がありました。

盗掘者は双子が珍しいとでも思ったのでしょうか。

 

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像24(24)ミツバツツジ

風穴の近くのミツバツツジはたくさん花を咲かせます。

 

 


皿ヶ峰 散策レポート画像25(25)盗掘跡

これが今までで一番悲しい盗掘跡です。

1週間前に,風穴付近で絶滅危惧種のアワコバイモが少なくとも1個掘られて盗られていました。その個体はその1週間前に私自身が撮影したものでしたから,盗掘にすぐに気がつきました。

そしてこの日,盗掘にあったアワコバイモの数メートルほどの所にもっと大規模な盗掘を発見してしまいました。

 

おそらく横80cm×縦40cmほどの面積に相当する苔が岩から剥がされるように盗掘されていました。今まで石鎚山系でも園芸スコップでリンドウやイワカガミを盗掘する人を見たことがありますが,これほどの盗掘は見たことがありません。主な対象が苔だったということもあるのでしょう,このような盗掘跡になったのは。

苔だけを対象にしたのか,そこに咲く山野草も含めて対象にしたのかは分かりませんが,この盗掘は極めて悪質なものであることだけは間違いありません。決して「出来心」からなどではありません。

その理由は,これだけの面積の苔を持ち去るにはそれなりの入れ物が必要だからです。底の浅い段ボールのような物が必要でしょう。ザックの類などでは不可能です。

さらに,この場所は誰もが目にするところですから大きな段ボールなどの入れ物を持っていると目立ちます。したがって,盗掘を目的に人がいない時間帯を見計らって盗掘用の道具を持って実行したと推察されます。

個人の趣味のためなのか,業者の仕業なのか,それは分かりませんが,ここまでの行為は想像を絶します。

苔に覆われたこの場所は例年4月中旬からコチャルメルソウ,そしてコミヤマカタバミが咲き,今頃は主役の座がワチガイソウになる山野草の観察・撮影ポイントでした。

私にとっては毎年ねらって確実に”作品”が撮れる貴重な場所でした。そういう意味でも後味の悪い散策になってしまいました。


散策の最後の最後で実に不愉快なものを見てしまいました。来年以降もうここでは今まで撮ってきたような写真が撮れないかと思うと非常に残念な気持ちになります。今年はかなり気合いを入れて撮りましたからそれがせめてもの救いです。

二度とこのような盗掘跡を発見しないで済むように願いつつレポートを終わります。


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