私にとって山歩きの大きな楽しみの1つは山野草たちとの出会いです。登山道沿いには季節の移ろいとともに様々な種類の花が咲いてくれます。登山道の目立つところに大きな花を咲かせている花もありますが,多くはひっそりと目立たないように咲いている小さな花たちです。 一度山野草の魅力を知るとスポーツ登山よりも心の癒しの方を優先するようになり,必然的に山行スタイルは“スロー登山”になります。そんな心癒される山野草に出逢ったならば,フォトジェニックに撮ってやりたいと思い“ポートレート”風に撮っています。

花名:ツマトリソウ(褄取草)

ツマトリソウ(褄取草)の高画質写真
◎撮影日:2010年 6月 17日      ◎撮影地:石鎚山系     

ツマトリソウ(褄取草)】の図鑑情報

科+属 サクラソウ科 ツマトリソウ
花名の由来

花弁の縁が紅色に褄(つま)どられるところからついたが,実際にそのような個体を見つけるのは極めて難しい。ほとんどは先まで白い。

レッド・データ 愛媛県は「絶滅危惧2類(VU)」に指定している。
生育環境・特徴

高山から亜高山にかけての草原や林の縁に生える草丈10~20cmの多年草。

葉腋から出た長さ2~3cmの花柄の先に白い花を1個(~2個)上向に咲かせる。

まれに花冠の先が紅色に縁取りされているものもあり,これが和名の由来になっているが,実際に出会うことはほとんどない。数十もの個体を観察してうっすらと色がついているものでも数個程度しかない。まして,色濃く褄取られているものとなるとまず出会うことはないだろう。”幻の紅褄”と呼ばれている。(リンク「他の画像」を参照)

花冠の径は1.5~2cmほどで,深く7裂する。そのために,まるで離弁花のように見える。「7裂する」と一部の図鑑にあるが,実際には6裂の個体も8裂の個体も混在している。裂数と雄しべの数は一致する。

また,花冠そのものにも咲き方にも厚みがなく,真横から見ると実に平坦でしべを除くと薄い紙切れくらいの厚みしかない。

白い花は総じて清楚でつつましい印象を受けるが,その中でもツマトリソウは特にそう思える花だ。夏のアルプスでは,高度をひたすらかせぎながら比較的明るい樹林帯を登っているときに,白い花が目に飛び込んでくることがある。たいてい,このツマトリソウかマイズルソウだ。石鎚山系でもそうだが,よく一緒に咲いている。

■撮影のポイント:
背景がうるさくない個体を見つけることが肝心。白い花はすべからく露出に注意を要する。花弁の質感が見てとれるギリギリの露出を狙いたい。

花 期 6~7月
識別のポイント

分 布 情 報 北海道 本州(中部地方以西) 四国
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