私にとって山歩きの大きな楽しみの1つは山野草たちとの出会いです。登山道沿いには季節の移ろいとともに様々な種類の花が咲いてくれます。登山道の目立つところに大きな花を咲かせている花もありますが,多くはひっそりと目立たないように咲いている小さな花たちです。 一度山野草の魅力を知るとスポーツ登山よりも心の癒しの方を優先するようになり,必然的に山行スタイルは“スロー登山”になります。そんな心癒される山野草に出逢ったならば,フォトジェニックに撮ってやりたいと思い“ポートレート”風に撮っています。

花名:ナルコユリ(鳴子百合)

ナルコユリ(鳴子百合)の高画質写真
◎撮影日:2001年 6月 24日      ◎撮影地:石鎚山系     

ナルコユリ(鳴子百合)】の図鑑情報

科+属 ユリ科 アマドコロ
花名の由来

花が垂れて並んでいる姿を鳴子(小さい板に細い竹管を糸で掛け連ねたものを縄に張り,引けば管が板に触れて音を発するもので,田畑を荒らす鳥をおどし追うのに用いる装置)に見立てたもの。

レッド・データ
生育環境・特徴

山の林や草原のどちらかと言えば薄暗いところに生える多年草。

茎の長さは50~90cmほどで,上部は弓状にたわむ。葉は披針形~卵状披針形で長さ8~10cmほど。表面は濃緑色で裏面は白色。

花期は初夏。葉腋から花柄を一節ごとに下向きに出し枝分かれし,その先に緑白色で長さ2cm内外の筒状の花を2~5個鳴子状に下垂させる。花筒は先の方が色が濃く,先端が6裂し緑色を帯びる。

花 期 5~6月
識別のポイント

アマドコロと極似する。違いをまとめると下記のような点があげられる。

◎ナルコユリの茎は円柱形であるのに対し,アマドコロの茎(特に,中部以上)には明らかな稜角が6個ある。この違いが茎に触れたときの感触の違いとなり,前者はつるつるしており,後者はでこぼこしている。ほとんどの図鑑で指摘されているように,この点がもっとも客観的なポイントだろう。

◎ナルコユリの花筒の基部には花柄との間に緑色の小さな膨らみがあるが,アマドコロにはこれが無い。このポイントを指摘している図鑑はほとんどないが,重要な客観的な特徴として挙げたい。(上の写真参照)

◎葉はナルコユリの方が細く枚数も多いが,変異があるので参考程度にしておくのがよいだろう。

◎花冠の数は,ナルコユリは2~5個,アマドコロが1~2個とされる。したがって,図鑑を信じるなら,3個以上が下垂していればナルコユリと言える。(問題は,2個の場合だ。上の個体では,1個のところが1つ,3個のところが1つあり,残りは2個ずつついている。)

補足:
◎オオナルコユリは,ナルコユリよりも全てにおいてはるかに大形なので,識別には苦労しないだろう。

◎ミヤマナルコユリとはかなり似ているが,こちらは葉腋から堅くて細長い花柄を「斜上」させるのが特徴だ。花冠の数は1~5個。葉の縁が緩やかに波打っている。

分 布 情 報 本州 四国 九州
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