「スプリング・エフェメラル」という言葉をご存知でしょうか。春先から落葉樹林の林床に咲き始め得意なライフスタイルを持つ可憐な花たちのことです。 落葉樹林の林床に棲む妖精たちは,学問的な言葉ではなく叙情的に,しばしば“春の妖精”と呼ばれます。この春の妖精たちは早春植物とも呼ばれるように春先に咲くのが多いのですが,実際には種によっては標高差などの要因もあって初夏に咲くものもあります。ですが,そのイメージはあくまでも「つかの間の春を生き急ぐ小さくて可憐な花の妖精たち」だろうと思います。

写真集(フォトアルバム)

スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集月 スプリング・エフェメラル-「アワコバイモ(阿波小貝母)」-写真集

図鑑情報

◎ユリ科 バイモ属

貝母は,鱗茎(地下の球根)が半分に割れて,中から新しい球根が生えてきますが,その際の外側の球根が貝の殻に見えるそうです。花名はこれに由来するとのことです。さらに,中国産のバイモよりも小形なので,「コ」を付け,小貝母に地域性を表す「阿波」を冠したものです。

愛媛県では「絶滅危惧2類(VU)」に,環境省は「絶滅危惧1B類(EN)」に指定しています。

落葉樹林の林床や林縁に生える草丈15cmほどの多年草で,四国の固有種です。背景に溶け込むような色なので地味で目立ちません。普通に歩いていると気が付かないどころか,そこに咲いていると教えられてもすぐには見つけられないほど背景に溶け込みます。

葉は披針形で,花冠下には輪生する3枚の葉があり,その下には対生する2枚の葉がある姿が面白いです。茎先に1個の花を下向きにつけます。花冠の中がよく見えませんので,この点が観察者や撮影者泣かせです。花の形は釣鐘形で,花被片は6枚。暗紫色の網目模様があり,類種よりも濃い。葯は赤紫色~紫褐色。

類種に,コシノコバイモ(新潟県産)・トサコバイモ(高知県産)・ミノコバイモ(岐阜県)・カイコバイモ(山梨県)などがあります。花の形や色などの外見はミノコバイモによく似ているようです。

撮影機材

山野草の可愛らしさや造形美を余すところなく引き出すためには「一眼レフカメラ+マクロレンズ」の組み合わせが理想です。背景を大きくぼかしてポートレート風に撮ることが多く,被写界深度が極端に浅いためにマニュアルフォーカスを多用するので一眼レフのファインダーでないと対応できないからです。

レンズは,開放値が明るくて1~2段ほど絞った時のボケ味を大きく左右する「円形絞り」を採用した製品を特にお薦めします。焦点域は35mm判換算で60~105mmがよいのではないでしょうか。

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