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標準レンズについて
■まえがき

●標準レンズとは?

標準レンズというと,35mm判では,計算上はともかくも,50mmレンズということに事実上なっています。昔は,この50mmレンズが付いた状態でカメラを購入するのが当たり前でした。撮影しているうちに,もっと広く写せるレンズが欲しいと思った人は広角を,逆にもっと大きく写したいと思うようになった人は望遠系のレンズを買い足したものです。

現在はズームレンズが主流ですから,最近写真を始めた人には「標準レンズ」という意識があまりないかも知れませんね。

また,標準レンズというのはある意味では「基準レンズ」でもあります。つまり,「広角系」とか「望遠系」という時には,「50mmを境にしている」という前提が共通認識でしょう。

●標準レンズは万能レンズ?

万能であるかどうかはさておき,前景を大きく取り入れ遠景までピントがくるように絞り込んで撮影すれば広角レンズのような写りになりますし,絞りを開放付近にして背景まで距離をとりボカせば中望遠レンズの雰囲気を醸し出せます。

私は50mmレンズでこういう使い方を経験してから他のレンズを覚えた方が,広角の特徴を十分生かした,あるいは望遠の特徴を活用した撮影方法を早く習得できるので,結果的には早道だと思います。しかし,最初からズームが付いていてはこういう使い方にはなかなかならないかも知れませんね。

「広角レンズで写す」ことと「広角レンズを生かした撮影をする」こととは別の次元のことなのですが,それを分かるには授業料(フィルム代や現像・プリント代)をかなり払う必要があるのでしょう。

ついでながら,50mmレンズは概して『明るい,安い,軽い』そして『ボケが美しく高性能』です。ですから,コストパフォーマンスに大変優れたレンズなのです。

■本 題

●山岳写真における標準レンズ

これから述べることはあくまでも私個人の感性に基づいています。私個人の好みの撮影方法に基づく感想です。他の人がどういうレンズで撮影しているかは問題にしていません。

石鎚(天狗岳)を中心とした石鎚山系での撮影では,私は標準レンズでけっこう「オイシイ」思いをさせていただきました。常識どおり,私にとって50mmレンズは本当に標準レンズでした。

しかし,初めて白馬岳に大雪渓経由で登ったときに,大袈裟に言えば,私の常識を覆すような経験をしました。当然のことながら撮影しながら大雪渓を歩いていたわけです。スナップも撮りながらなので,28mmレンズを装着していました。

ところが,山頂に着くまで28mmを他のレンズに付け替えることがなかったのです。手前に花を配して背景に山をもってきても,その山容が大きいので28mmや35mmで十分なのです。
同じようなことを他の山でも経験しました。要するに,四国の山に比べて被写体の山がとにかく大きいのです。南アルプスでは特にそうだったような記憶があります。50mmで写しても85mmレンズで写したような感じになりました。(私が経験したアルプスの山は限られますので,あくまでも経験した範囲内で,とご理解下さいね。)

その結果,私の中ではアルプスでは35mmレンズが標準レンズで50mmレンズは中望遠レンズという図式ができあがりました。したがって,広角は24mmクラスになります。(24mm以上の広角の必要性はあまり感じたことはありませんでした。)

それ以来,私は初めての山域に出かけて行くときは,中心に据えるレンズに悩んできました。幸い今はインターネットがありますから現地の写真家に情報をもらうことも可能ですが,以前はプロの写真家の写真集を見て使用レンズを35mm判に換算して研究しました。

標準レンズが広角よりにずれていることは,おそらくアルプスなどの山によく撮影行をしている人にとっては,当たり前のことなのでしょうが,私には戸惑いだったのです。135mmレンズも最初の頃は持って行っていましたが,使用頻度が皆無に近かったので持って行くのを止めました。

このことから逆に言えるのは,石鎚山系に来られる方はこの違いを考慮して撮影機材を選択されるのがよろしいのではないでしょうか,ということです。石鎚山全体を写そうとすると多くの場所からは中望遠レンズが標準レンズになるかも知れません。

ちなみに私は,石鎚山弥山頂上からは50mmが標準レンズ,石鎚周辺からは多くの場合,60mm〜100mmが標準レンズ,というように認識しています。

それにしても,ズームレンズ主体の方だとこういう悩みはないのかも知れませんね。