■ブロッケンの適正露出は?
ネガフィルムで記念撮影的に撮る分にはそれほど悩む必要はないでしょう。おそらくアンダー気味に(つまり,薄く)ネガには記録されるでしょうが,現在のネガなら適正値の範囲内に収まるでしょう。心配なら他のところで露出を測りAEロックをすればよいと思います。この方が露出的には適正になるはずです。ただし,自動でプリントに焼いてもらった場合は他のところに露出を合わし補正された状態で仕上がると思います。その場合,ブロッケンそのものの色は薄く,場合によっては再現されていないかも知れません。しかし,がっかりする必要はありません。ブロッケンに合わせて焼くように依頼すればよいのです。ネガ上には記録されているはずです。
問題はポジで,しかも作品を作ろうとしている場合です。ポジの露出は常に悩みの種ですね。私の場合は,普通は天狗岳と組み合わせて作品にしようとしますから,天狗岳の露出とブロッケンの露出のバランスをとるようにします。ブロッケン優先という訳にはいかないのです。(このバランスを考慮すると,ブロッケンの色が濃い時でないと作品にはなかなかなりません。)
具体的な適性露出の求め方ですが,上のサンプル画像の赤丸の岩やその下の露出した岩に光が当たっている場合はそこをスポット測光して,その露出を基準にして念のためにプラス側とマイナス側に2分の1ずつ段階露光をします。これで適正露出を得られます。カメラ本体についているスポット測光機能を大いに利用しましょう。
ブロッケンの部分で露出を測ると霧に光があたりハイライトになっているので,そのまま撮影するとアンダーになります。ネガとは逆で,ポジでは色濃く記録されますから「救済」にはなりますが,作品として適正露出とは言えないでしょう。(ブロッケンそのものの観察記録を作るなら話は別ですが。)この方法で適正露出を得るには,プラス側にある程度補正をする必要があります。
「この補正量が問題なのだ!」というのが多くの方の認識ではないでしょうか。私もその一人です。適正補正量が瞬時に判断できれば「露出の悩み」から解放されると言っても過言ではないでしょう。ブロッケンが現われているときの太陽光の強さは多くの場合一定ではありませんから,補正量も臨機応変にシフトする必要が生じてしまい,それが悩みの種になるのです。
しかし,上記の私の方法だとほぼ正確な露出を得られます。また,この方法は他の場所でも同じような測光ポイントがありさえすれば可能な方法です。
ついでながら,上の写真において,ブロッケンの色が薄いのは露出がオーバー気味だからではなく,ブロッケンそのものの色が薄かったからです。その証拠に天狗岳の方は適正露出になっています。したがって,「作品」にはなりえません。(^^ゞ |