Welcome to For Your Reference --- about my photographic equipment for wildflowers.

山野草撮影機材…デジタルカメラ編

◎デジタルカメラ編

デジタルカメラで撮影するのはリアルタイム(できれば,その日の内)にサイトにアップするためです。撮影も迅速に,がモットーです。したがって,基本的に三脚は用いず「手持ち撮影」が前提です。これは個人的なこだわりなので必ずしもお勧めはしません。(三脚は使わないよりは使った方がよい,というのが原則だと心得ています。)

また,当然ながらAFカメラではありますが,マクロ撮影では多くの場合MFに切り替えて使っています。AFでは,例えば,雌しべの柱頭の先に確実にピントを合わせるというようなことは至難の業ですから必然的にMF撮影になります。

■カメラ:PENTAX K10D(2007年2月2日 購入)

本機を入手したことで,デジタルカメラの撮影方法や利用方法が変わることになると思います。それほど可能性を感じさせてくれるカメラだと思います。(使い込んでから追記の予定)

■カメラ:PENTAX *istD
本当はオリンパスのE-1購入を目論んでいましたが,2004年末に岳父より本機を無料で譲り受けたので有り難く使っています。手が小さい私にも扱いやすい大きさと重量,そしてピントの山がつかみ易いファインダーが気に入っています。モードダイヤルにロック機能がついていないために撮影中にいつの間にか動いていることがあるので注意が必要です。これが最大の欠点です。この点は強く改善を求めたいところです。

問題点としては,E-1以外の1眼レフに共通の問題ですが,CCDに付着するゴミ問題が煩わしいことです。また, ファインダーの視野率が100%でないので,写りこむ範囲内を予測しないといけないのは苦痛です。ギリギリはずしたつもりが写っていたというようなことは日常茶飯事です。

■レンズ(1):SMC PENTAX DFA MACRO 50mm F2.8
デジタル専用設計です。銀塩35mm判カメラ換算で約75mm相当の中望遠マクロレンズに相当し,等倍までの撮影が可能です。使用頻度が一番高いです。ボケを利用した撮影にも被写界深度の深い撮影にも,「手持ち」で対応できるので重宝しています。絞り開放および開放付近のボケも含めてボケ味は良好です。(もっとも,この20年くらいのマクロレンズでボケがきれいではないのを捜すほうが難しいでしょうが。)同定のための資料として撮影する場合は絞り込みますが,それ以外の場合は条件が許す限り開放(付近)で撮ります。

■レンズ(2):TAMRON SP AF90mm F2.8 Di MACRO
銀塩時代の名レンズがデジタル専用設計で登場しました。銀塩時代からぜひ使ってみたいと思っていたレンズでした。PENTAX istDで使用すると銀塩35mm判カメラ換算で約135mm相当の中望遠マクロレンズに相当し等倍までの撮影が可能です。中望遠ですから手持ち撮影が少し難しくなりますが,根性で手持ち撮影を実行しています。(^^)

背景を大きくぼかしたいときや撮影距離を取りたいとき,あるいは近づけないときに積極的に利用しています。当然のことながらボケ味は良好です。光線にもよるでしょうが期待通り柔らかい描写をします。上記の50mmマクロと比較すると,同じ等倍撮影でも被写体までの撮影距離にかなりゆとりがあるので,撮影姿勢を楽に取れる場合が多そうです。中間絞りでの点光源のボケが極めて良好なのは9枚絞り羽根の恩恵でしょう。

使用した第1印象は「軽い!」でした。信じられないくらい軽いです。レンズが軽いと手振れを起こしやすいという意見もありますが,少なくとも小さくて軽いデジタル一眼との相性はとても良いと思います。地面に這いつくばるような姿勢で撮ることも多い山野草の撮影では,重量負荷を指先だけで受けることもあるので「軽いに越したことはない」と私は考えます。

■レンズ(3):SMC PENTAX DA ZOOM16-45 F4 ED AL
花の咲いている環境を写しこむときに使用する以外では,山行レポート用の写真を写しています。純正の同クラスの銀塩用ズームよりもボケ味は比較にならないほど良好です。デジタル専用設計の恩恵でしょう。本当は銀塩で21mm〜28mmクラスに相当する単焦点広角マクロレンズが欲しいところです。

■レンズ(4):SMC PENTAX DA 14mmF2.8 ED(IF)

上の<ZOOM16-45 F4 ED AL>をしばらく使った結果,広角側が物足りないのと開放時のボケ具合が我慢できなくて購入を決意したのがこのレンズです。デジタル専用設計です。

広角になればなるほど,数ミリの焦点距離の違いが大きな違いを生みだしますが,35mm判換算で約24mmと約21mmとでは全く異なった世界を創り出します。超広角レンズということを考慮すれば,開放時のボケ味も許容範囲内です。花をアップで捉え,なお且つ生育環境を写しこめる利点は特筆すべきであり,望遠系のマクロレンズとは違い,風景の中の花を写すことができます。

■レンズ(5):SMC PENTAX DA 50mmF4〜200mmF5.6ED

山野草の撮影は「登山道から写せる花」を原則にして写しています。しかし,登山道から離れたところに咲いている花を近づいて写したい場合もあります。そのような時に,登山道から離れることで生育環境を傷めてまで撮影することには後ろめたいものを感じます。

そこで,この精神衛生上のストレスを解消するために購入したのがこの望遠ズームです。デジタル専用設計で,35ミリ判換算約75〜300mmをカバーする4倍ズームです。このレンズのおかげで余計な踏み跡を残すことは皆無となりました。また,今までなら撮影を諦めた被写体にも挑戦できるのが嬉しい点です。

 

●使用メディア(1):マイクロドライブ4GB

4GBあっても,PENTAX *istDではRAW撮影すると計算上は282枚しか撮影できません。これは丸1日山野草を追い求めると使い切ってしまうかもしれない枚数です。「段階露光」を行うと絶対的に容量不足になる計算です。

コンパクトフラッシュと異なり,小さくてもHDDなので衝撃には弱くいつかは必ず壊れると考えておかなければなりません。(;_:) 取り扱いには極めて注意が必要ですが,何よりもコンパクトフラッシュの約3.5分の1の価格で買えるのがありがたいです。

●使用メディア(2):コンパクトフラッシュ1GB
上記のマイクロドライブの予備として待機していますが,価格が高いのが欠点です。4GBのコンパクトフラッシュを購入しようとすると6万円ほどかかります。7万円出せば本体だけならパソコンが買える時代にこれは高すぎます。

●フィルター:レンズ保護用のみ

●一脚:リンホフ製
軽くて比較的短いので携帯が苦になりません。あくまでも手持ち撮影が前提なので緊急避難的意味合いで携帯することがあります。使用したことはほとんどありません。

注意:画像はメーカーの許可を得て使用しています。

◎デジタルカメラの使用雑感

デジタルカメラを使用するようになったのは山野草を本格的に撮影するようになった2004年からです。最初は貰い物のコンパクトタイプのデジカメを使っていましたが,ピントが抜けてしまったり色が悪かったりで苦労しました。銀塩に換算して28mm〜200mm相当のズームレンズが付いていましたがコントラスもかなり低く,到底満足できるものではありませんでした。何よりも銀塩で培った露出の経験則が当てはまらないことが多く使いながらフラストレーションが溜まったものです。2005年春より一眼レフタイプのデジカメを使うようになり,概ね満足しています。

デジカメについてはいろいろ議論もありますが,サイトの情報をリアルタイムに近い状態で---例えば,撮影から帰ってきてその日の内に---更新できるのはありがたいですし,サイト運営者にとってはこの点こそが何事にも替えがたい利点だと思っています。サイトの訪問者にとってもほぼリアルタイムの情報を得られるのは有益であるに違いないと考えます。特に画像による花期情報はそうではないでしょうか。

コストも格段に違います。一度デジタルカメラを手に入れればフィルム代と現像代がかかりません。したがって,「念のために」という撮影を遠慮なく行えます。少しの風で揺れる山野草の撮影では保険として何枚か写しておくことも気軽にできます。あるいは,露出の勉強をするのにもコストを考慮しないで好きなだけシャッターを切れます。この利点は計り知れないものがあります。

デジタルカメラを使って感じたもう1つの利点は低速シャッターに強いという点です。明らかに銀塩よりも手ブレを起こし難いです。シャッターシステムの違いからくるのでしょう。さらに,総じて被写界深度が深いので,あまり絞り込む必要がありません。したがって,その分シャッター速度が速くなります。ということは,手ブレだけでなく被写体ブレも防ぎやすくなり,この利点を生かせば機動力を高めることができるのです。私はPENTAX *istDで撮影するときは特別な時間帯以外は「手持ち撮影」を原則として機動力を優先しています。そして,それが可能なのです。

一方,私は額に入れて鑑賞するような写真は銀塩でしか撮りません。ポジフィルムを大伸ばししたプリントの美しさはデジタルでは味わえないと思っているからです。一部のアマチュア写真家に見られるように,デジタルカメラを否定するほど銀塩にこだわりながらも写真をデジタル化してサイトにアップするのは,「自己矛盾」以外の何ものでもないと考えます。そこまで銀塩にこだわるなら,スライドやプリントで楽しむべきではないでしょうか。元はフィルムでもデジタル化した時点で色や諧調に変化をきたし銀塩の完全な再現ではなくなるからです。さらに端末の環境によって同じ画像でも見え方が異なります。ネットの世界はこういう意味では実に「アバウト」な世界だと思います。したがって,サイトに画像をアップする以上は健全な意味での何らかの「割り切り」は必要でしょう。

要するに,当然,銀塩には銀塩の,デジタルにはデジタルの良さがあるのです。その利点を生かすような使用目的の範囲内ではデジタルカメラはいたって便利且つ優れた道具であるのは疑う余地はないと思います。大いに楽しむべし!